山家集をよむ(29)
2024-09-21


牡鹿(をしか)伏す萩:鹿がいつも萩に寄り添うとされた。

荻(オギ)の上風(うわかぜ):荻の上を吹く風。

 

(288) あたりまであはれ知れとも言ひ顔に荻の音こす秋の夕風

荻の原を吹き渡る秋の夕風は、あたり一面にあはれを知らすかのようです

The sound of the wind blowing across the field of ogi on an autumn evening seems to spread a sense of sadness all around.

音(ね)

 

(289) 吹きわたす風にあはれをひとしめていづくもすごき秋の夕暮れ

秋の夕暮れは、荒涼とした風が吹きわたって、どこも寂しいです

In the autumn evening, the desolate wind blows and it's lonely everywhere.

ひとしめて:等しくして

すごき:荒涼として寂しい

 

(290) おぼつかな秋はいかなる故のあればすずろに物の悲しかるらん

私は不思議に思います。秋はどうしてこんなに悲しいのでしょう。

I wonder: why is autumn so sad?

すずろに:むしょうに




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[短歌]

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