牡鹿(をしか)伏す萩:鹿がいつも萩に寄り添うとされた。
荻(オギ)の上風(うわかぜ):荻の上を吹く風。
(288) あたりまであはれ知れとも言ひ顔に荻の音こす秋の夕風
荻の原を吹き渡る秋の夕風は、あたり一面にあはれを知らすかのようです
The sound of the wind blowing across the field of ogi on an autumn evening seems to spread a sense of sadness all around.
音(ね)
(289) 吹きわたす風にあはれをひとしめていづくもすごき秋の夕暮れ
秋の夕暮れは、荒涼とした風が吹きわたって、どこも寂しいです
In the autumn evening, the desolate wind blows and it's lonely everywhere.
ひとしめて:等しくして
すごき:荒涼として寂しい
(290) おぼつかな秋はいかなる故のあればすずろに物の悲しかるらん
私は不思議に思います。秋はどうしてこんなに悲しいのでしょう。
I wonder: why is autumn so sad?
すずろに:むしょうに
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