p. 84)(筆者注:「相当」という語句は裁判でよく用いられるようだが、普通の語句に置き換えるとすれば、上の文脈の場合「ふさわしい」でいいだろう。)
と、これも明確に退けている。
この二つ目の争点は、住民の避難を命じる立場にある市町村長がいつも直面する問題である。避難指示が空振りに終わることを恐れて、躊躇している間に災害が発生し、避難指示が災害発生の後になることがしばしばある。ここでの裁判所の判断は筋が通っていると言えるが、各自治体の長としては、ではどうすればいいのだ、と言いたくなるかもしれない。しかしながら、選挙で選ばれた自治体の長は、そういった重い責任を負うことも含めて、住民から判断を負託されているのである。そのような負託とは無縁の気象庁が、避難とリンクした噴火警戒レベルを発出するところに、そもそもの問題の根源があるのかもしれない。
そういった火山噴火警戒レベル自体の問題について、審理の初期の段階で原告ら代理人の一人に話を向けてみたことがあるが、国賠訴訟ではそういう問題は扱わないと、取り付く島のない返答だった。火山噴火警戒レベルがあることを枠組みとして、審理を進めるという方針だったのだろう。
(この稿続く)
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